従来用いられてきた2D細胞培養は低コスト・シンプルなどのメリットがあるものの、生体内の複雑な組織構造や機能の再現が難しく、臨床試験における予見性が低いといった課題がありました。
対して、幹細胞から作られる3Dオルガノイドは臓器の構造や機能をより忠実に再現できます。そのため、生体に近い生理学機能を備えたモデルの提供が可能となり、ヒト組織の反応をより高度に予測できるようになるなどのメリットが得られます。
疾患のモデル化や化合物の影響について評価を行うにあたり、オルガノイドは必要不可欠であるといえます。その中で、オルガノイドや幹細胞の成長と分化の自動モニタリングやメンテナンス、性能特性、さまざまな化合物の影響試験が行える自動統合システムの構築が行われています。
このシステムには、ImageXpress® Confocal HT.aiシステムと解析ソフトウェアのほか、自動CO₂インキュベーター、Biomek i7液体ハンドラー、協働ロボット・レールから構成されていることに加え、自動遠心機とImageXpress® Picoシステム、プレートリーダーがオプションとして含まれています。
近年では、CAR-T細胞ががんオルガノイドの形態に与える影響が明らかにされていますが、AIをベースとしている画像解析ツールの活用により、オルガノイドの形状やサイズ、生存率の変化について経時的に追跡を行い、治療の効果を定量的に評価することが可能となっています。
384ウェルプレートなどを用いることによる大量スクリーニングへの移行も重要なポイントです。ハイスループット(HTS)は、数千〜数百万ものサンプルのテストを高速に実行する自動化装置が用いられていますが、創薬をはじめアポトーシスや細胞毒性、細胞増殖など、さまざまな生物学的プロセスのアッセイにおいて重要な役割を果たしています。
ヒト小腸上皮オルガノイドを用いることにより、既存のモデルでは難しかったTNF依存的な細胞死を抑制する化合物(グリルチンなど)を同定した事例です。グリルチンはカスパーゼ8依存的なアポトーシスシグナルを抑えることで細胞死の抑制につなげたという点が明らかになっています。また、腸炎モデルマウスにおいても、グリチルチンは腸炎の改善効果を示すといった点が確認されています。
InnoSerが提供している、オルガノイド高スループット表現型スクリーニングサービスは、患者由来オルガノイド(PDO)を用いたデータを提供することによって、リード化合物の選択と最適化のプロセスを加速できます。
さらに、アントワープ大学のスクリーニングプラットフォーム「DrugVision.ai」と Orbits Oncology の画像・データ解析技術を組み合わせた自動化・無標識スクリーニングにより、薬剤の有効性、作用機序、相乗効果に関する知見を取得できます。これにより、複数のリード化合物を比較しながら、データに基づく迅速な意思決定が可能になります。
成長因子を含むMatrigel中で培養したヒト肺上皮細胞から作製した3D肺オルガノイドは、透過光でモニタリングした後に染色し、自動共焦点イメージングを用いてMatrige越しに撮像を実施。画像の解析には従来のツールとAIツールが使用されていますが、高度な画像解析によって、オルガノイドの3D再構成や細胞形態、生存率、分化マーカーの複雑な解析が可能となっています。また、肺毒性を引き起こす複数の薬剤について、濃度依存的な影響を測定しています。
ヒトiPS細胞は分化誘導後に自己組織化を促し、患者組織や上皮細胞は組織片の分離・酵素処理を行った後に増殖因子入り培地にて培養します。これらをMatrigelなどのECMに低温で包埋して37℃でゲル化させることによって、3D構造が安定。生体内と同様の極性や腔形成を再現しやすくなります。
評価についてはATP測定などの生存率に加え、画像解析によって増殖速度やサイズ変化を追っていく方法が広く用いられています。標準化オルガノイド成長率(NOGR)は、明視野画像から成長率を正規化し、細胞毒性と増殖抑制を精密に分離・定量化できる指標です。より正確な薬剤応答や表現型の評価に繋げられます。
患者個別の治療歴や遺伝的変異を反映したPDOによって、生体に近い環境における薬剤応答について事前の比較評価が可能となります。この点から、有効性が高いと考えられる治療法の絞り込みや薬剤耐性の予測が可能となり、患者の特性に合った治療選択が期待できます。
オルガノイドは、ヒト特有の薬物応答について大概での再現が可能です。そのため、動物実験における置換・削減・苦痛の軽減(3R原則)を推進する強力な代替モデルであるといえます。日本においても動物実験の適正化が強く求められており、国際水準の動物福祉と人道的な取り扱いを担保する「AAALAC認証(任意の第三者認証プログラム)」が注目されています。
専門的な腫瘍学CROサービスの利用により、高度な専門技術が求められるオルガノイドの薬効・毒性評価について外部委託が可能となるため、候補化合物のスクリーニングの効率化が行えます。この点から、前臨床試験を厳選でき、新薬の開発を加速させることに繋げられます。
Here, the effical editorial team independently researched contract service providers and selected companies that offer a broad range of disease models and study examples. These companies were classified according to the target area of the new drug under development.