抗がん剤の創薬は、がんという難治性疾患に対する治療法を開発するための重要な取り組みです。がん治療の進展は多くの患者の命を救うことにつながります。 ここでは、抗がん剤の新薬開発事例をいくつか紹介し、それぞれどのような非臨床試験が使われたのか解説します。
国立がん研究センターは、エーザイと共同で希少がんや難治性がんに対する治療薬の創出に取り組んでいます。このプロジェクトでは、がん患者由来の腫瘍組織を免疫不全マウスに移植したPDX(Patient-Derived Xenograft)モデルを使用し、がんゲノムデータを活用して新規抗がん剤候補品の開発を加速させています。これにより、非臨床研究から臨床研究までの一貫した創薬システムが確立されました。
国立がん研究センターでは、PDXライブラリーとがんゲノムデータを活用した非臨床試験が実施されています。この非臨床試験は、有効な治療法を迅速に見つけ出し、臨床試験への円滑な移行を目標にしています。具体的には、治療効果を正確かつ効率的に予測し、実際の治療効果や副作用、薬剤耐性の作用機序を明らかにすることを目指しています。
東京薬科大学の林教授は、ペプチド様分子をもとにがん治療薬プリナブリンを開発しました。プリナブリンは、既存の血管を壊し、がん細胞をアポトーシスに導くことでがん細胞を兵糧攻めにする新しいアプローチの薬剤です。現在、プリナブリンはアメリカと中国で臨床試験の最終段階を迎えており、近い将来新薬としての承認が期待されています。
林教授の研究室では、プリナブリンの化学構造を改変し、薬としての有効性を高める非臨床試験が行われました。これには、がん細胞に対する直接的な攻撃と、新生血管を壊す作用の検証が含まれます。また、米国の製薬企業で進められている臨床試験では、プリナブリンとタキサン化合物を組み合わせる新たながん治療法も検討されています。
抗がん剤の新薬開発は、がん治療の未来を切り開く重要な取り組みです。国立がん研究センターや東京薬科大学の事例から学ぶことで、非臨床試験の重要性とその具体的な方法を理解できます。非臨床試験で得られたデータは、新薬の臨床試験への橋渡しとして極めて重要です。これにより、より効果的な抗がん剤の開発が進み、多くの患者の治療に貢献できるでしょう。
新薬開発において、非臨床試験の質と効率は、臨床成功率やコスト、スピードに直結します。特に近年では、「ヒト外挿性の高いデータ」「国際申請に通用する信頼性」「創薬初期での的確な絞り込み」といったニーズが高まり、CRO(医薬品開発受託機関)選びにも戦略性が求められるようになりました。
本記事では、非臨床の目的ごとにおすすめの3社を厳選して紹介していきます。