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慢性腎疾患モデルとは?種類・作製方法・評価指標を解説

目次
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慢性腎疾患(CKD)は国内外で患者数が増加しており、新たな治療薬の開発が急務となっています。CKD治療薬の非臨床試験では、ヒトの病態を再現する動物モデルの選択が欠かせません。本記事では、代表的な慢性腎疾患モデルの種類や作製方法、評価指標について解説します。

慢性腎疾患(CKD)モデルの概要

CKDモデルが求められる背景

CKDは腎機能が慢性的に低下する疾患の総称です。日本では成人の約8人に1人がCKD(※)に該当するとされ、透析導入患者の増加に伴う医療費の増大も社会的な懸念事項となっています。これを受け、厚生労働省の検討会等を通じて重症化予防への取り組みが加速しています。

こうした背景から、CKDの進行を抑制・改善する新薬開発へのニーズは高く、非臨床試験の段階で候補化合物の有効性や安全性を正確に予測することが求められています。適切な動物モデルを用いることで、臨床試験(治験)への移行判断に資する高精度なデータ取得が可能となります。

※参照元:日本腎臓病協会公式HP(https://j-ka.or.jp/ckd/)

代表的な慢性腎疾患モデルの種類一覧

非臨床試験で用いられる主なCKDモデルは、薬剤投与による「誘発モデル」、外科的手法による「物理的欠損モデル」、および抗体投与などによる「免疫学的モデル」に大別されます。

モデル名 動物種 作製方法 特徴
アデニン誘発モデル マウス・ラット アデニン含有飼料の経口投与 非侵襲的で作製が容易。濃度調整により病態進行の制御が可能。
腎動脈結紮モデル ラット 左腎動脈分枝の結紮+右腎摘出 病態発現が早く、安定した腎機能低下を維持できる
5/6腎摘出モデル ラット 腎臓の5/6を外科的に切除 高度な腎機能低下を再現。病態が強く出る場合がある
抗GBM抗体腎炎モデル ラットなど 抗糸球体基底膜抗体の投与 免疫学的機序による重篤な糸球体腎炎(急速進行性など)を再現
抗Thy-1抗体腎炎モデル ラットなど 抗Thy-1抗体の投与 メサンギウム細胞を標的とし、メサンギウム増殖性腎炎(可逆的な病態)を再現

各モデルにはそれぞれ利点と制約があるため、研究目的や評価項目に応じた選択が求められます。目的に合ったモデルを選定し、適切な評価系を構築することが非臨床試験の成功につながります。

アデニン誘発慢性腎不全モデルの特徴と作製方法

アデニン誘発慢性腎不全モデルは、プリン体の一種であるアデニンを経口投与して腎不全を誘導する病態モデルです。体内で代謝されたアデニンは2,8-ジヒドロキシアデニンとなり、腎臓の尿細管に結晶として沈着します。この結晶沈着が尿細管の閉塞や間質の線維化を引き起こし、慢性的な腎機能低下をもたらします。

手術を伴わないため動物への侵襲が少なく大規模な試験にも適しており、マウスとラットの両方で作製できる点も汎用性の高さにつながっています。

アデニン誘発モデルの作製手順と条件

主な投与方法には「混餌投与」と「強制経口投与」の2種類があります。

一般的には8週齢前後のマウス(C57BL/6Jなど)やラットが用いられ、試験目的に応じて数週間の投与プロトコルが設定されます。

マウスにおけるアデニン濃度と病態の相関

アデニンの混餌濃度は病態の進行度に大きく影響します。濃度ごとの違いを正しく把握し、試験目的に合った条件を設定することが不可欠です。

以下はマウスを対象とした場合の一般的な濃度条件です。

0.1%濃度

0.1%アデニン混餌では、体重変化や血中BUN(尿素窒素)・Cre(クレアチニン)の有意な上昇は認められません。腎不全モデルとしては十分な病態が発現しないとされています。

0.15%濃度

0.15%アデニン混餌では、緩やかな体重減少とともにBUN・Creが段階的に上昇します。急激な悪化を避けながら安定した腎機能低下が得られるため、薬効評価に適した条件です。被験物質の投与タイミングや評価スケジュールを柔軟に設定できる点もメリットといえます。

0.2%濃度

投与開始後の早期から、急激なBUN・Creの上昇と著しい体重減少が生じます。病態の進行が速いため、薬効評価のタイミング設定には注意が必要です。0.2%濃度を使用する場合は、4週間の混餌投与後に正常食へ切り替え、2週間の回復期間を経てから被験物質を投与するプロトコルが推奨されています。

薬効薬理試験では、安定した病態のもとで薬効を検出しやすい0.15%濃度が採用されるケースが多く報告されており、評価系の構築にあたっては、動物種や試験目的に応じた濃度選定が重要です。

腎動脈結紮・腎摘出による慢性腎不全モデルの特徴

腎動脈分枝結紮法

腎動脈分枝結紮法は、まずイソフルラン麻酔下で左腎動脈の中枢側分枝を結紮します。その1週間後に右腎を摘出し、片腎の一部組織を虚血・梗塞させることで機能するネフロン数を減少させ、慢性腎不全を誘導します。使用動物はラット(Lewis系統、10週齢)が報告されています。

試験群は通常、1K群(左腎動脈分枝結紮+右腎摘出)、2K群(結紮のみ・右腎温存)、Sham群(偽手術)の3群で構成。1K群では右腎摘出後1週間の時点でBUN・Cre・CysC(シスタチンC)の有意な上昇が確認されます。

この病態は少なくとも4週間にわたり安定的に維持され、体重減少や一般状態の異常が認められにくく、重症化しにくい点がメリットです。安定した腎機能低下のもとで被験物質の薬効を評価できるため、非臨床試験で有用性の高いモデルと位置づけられています。

5/6腎摘出モデルとの比較

5/6腎摘出モデルは腎臓の大部分を外科的に除去する方法で、高度な腎機能低下を再現できます。ただし病態が過度に強く出る場合があり、動物の全身状態が著しく悪化するリスクを伴います。試験期間中の死亡率上昇の可能性もあるため、慎重な試験設計が求められます。

腎動脈分枝結紮法は5/6腎摘出モデルほど病態が強くならず、安定した評価期間を確保しやすい利点があります。研究目的や必要な病態の重症度に応じて、適切な外科的モデルを選択することが大切です。

免疫学的機序による腎炎モデルの特徴

外科的手法やアデニンなどの薬剤投与によるモデルとは異なり、免疫の異常による腎炎(糸球体腎炎など)を再現したい場合は、特異的な「抗体」を投与するモデルが用いられます。代表的なものに以下の2つがあります。

抗GBM抗体腎炎モデル

血液をろ過するフィルターの役割を持つ「糸球体基底膜(GBM)」を直接攻撃する抗体を投与するモデルです。急激に症状が悪化し、半月体形成などを伴う重篤な急速進行性糸球体腎炎の病態を再現するのによく用いられます。

抗Thy-1抗体腎炎モデル

糸球体の毛細血管を支える「メサンギウム細胞」を標的として攻撃するモデルです。ヒトのIgA腎症などに類似したメサンギウム増殖性腎炎を再現でき、一度悪化した病態が自然に回復していく過程(可逆的病変)を評価できるという特徴があります。

このように、同じ「慢性腎疾患」の枠組みでも、目的とする作用機序(どの部位の免疫異常を標的にするか)によって選択すべきモデルは異なります。

慢性腎疾患モデルの評価指標と試験実施のポイント

慢性腎疾患モデルの薬効薬理試験では、複数の腎パラメーターを組み合わせて総合的に評価します。薬効評価においては、以下のパラメーターを多角的に解析することが一般的です。

評価のタイミングは、試験プロトコルに応じて設定。一般的にはモデル作製後の病態安定期に被験物質を投与し、投与後の経時的な変化を追跡する方法が採用されます。適切な評価時点の設定が、薬効検出の精度を左右します。

受託試験機関に依頼する場合、問い合わせからプラン策定、契約、実施、最終報告まで、標準的には約2ヶ月程度の期間を要します。事前に「どのような作用機序を狙った薬剤か」を整理しておくことで、適切なモデル選定とスケジュール立案が可能になります。

CKD非臨床試験における臨床予測性の向上に向けた課題と対策

早期発見と薬効評価を可能にする新規バイオマーカーの活用

従来の非臨床試験における腎機能評価は、主に血清BUN(尿素窒素)やクレアチニンの測定、および病理組織学的評価に依存してきました。しかし、これらの指標は腎機能がすでに大きく低下した段階で顕在化するため、発症初期の微小な変化や、薬剤による早期の改善効果を捉えにくいという課題がありました。

近年では、より早期の尿細管障害や炎症を鋭敏に反映する新規バイオマーカーの活用が標準化しつつあります。具体的には、KIM-1(Kidney Injury Molecule-1)、NGAL、L-FABP、シスタチンCなどの測定を評価パネルに組み込むことで、細胞レベルでの早期の腎保護作用や、逆に潜在的な腎毒性を高感度に検出することが可能となります。

臨床のリアルな病態を反映した「合併症(多臓器連関)モデル」の選択

実際の臨床現場において、CKD患者の多くは単一の疾患ではなく、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの代謝性疾患を合併しています。特に、慢性腎不全と心不全が相互に悪化を招く「心腎連関(Cardiorenal Syndrome)」は、生命予後を左右する重大な課題です。

そのため、物理的または化学的に作製された単純な腎障害モデルに加え、ZSF1ラット(肥満・2型糖尿病合併CKDモデル)や、STZ(ストレプトゾトシン)誘発糖尿病性腎症モデルなど、ヒトの複雑なバックグラウンドを模倣したモデルの活用が強く求められています。新薬のターゲット層に合わせた病態モデルを選択することが、臨床試験での成功率の向上に寄与する重要な要素となります。

種差の壁を越える「MPS(生体模倣システム)と画像解析」の台頭

動物モデルを用いた非臨床試験は必須プロセスですが、ヒトと実験動物とでは、腎臓の解剖学的構造や線維化への進行スピード、免疫応答において「種差」が存在します。この乖離を埋める評価系として、ヒトiPS細胞等から誘導した「腎臓オルガノイド」や、微小流路デバイス上に糸球体・尿細管の微小環境を再現した「Kidney-on-a-chip(腎臓チップ)」といった生体模倣システム(MPS)をIn vitro評価に取り入れるケースが増えています。

さらにIn vivo評価においても、動物を安楽死させることなく経時的に腎臓の血流や線維化状態を非侵襲で測定する機能的MRI(BOLD法など)の技術が発展しています。受託機関(CRO)の選定においては、こうした先端技術を取り入れているかどうかも、質の高いデータを取得する上で重要なチェックポイントとなります。

まとめ

慢性腎疾患モデルには、アデニン誘発モデルなどの薬剤性モデル、腎動脈結紮などの外科的モデル、抗GBM抗体などの免疫学的モデルと複数の種類があります。それぞれ作製方法や病態の特徴が異なるため、研究目的や評価項目に応じた適切なモデル選択が重要です。

慢性腎疾患領域の非臨床試験をご検討の際は、試験目的に適したモデルの選定や評価系の設計について、受託試験機関へご相談ください。モデルの作製から評価・報告書の作成まで一貫した支援を受けることで、効率的な試験実施が可能です。

 
技術力・モデル数・実績の揃った
薬効薬理試験におすすめの受託会社 5選
 

ここではeffical編集チームが独自に調査をした受託サービスの中から、多くの病態モデルと試験事例を有する会社を、新薬の対象領域別に分類しました。開発中の新薬に近い領域から、ぜひおすすめの会社情報をチェックしてみてください。

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※参照元:SMCラボラトリーズ公式サイト(2022/1/1~2022/12/31の期間)https://www.smccro-lab.com/jp/quality/
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領域別
疾患動物モデル・
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