APP/PS1 Tg(B6;C3-Tg(APPswe,PSEN1dE9))は、アルツハイマー病研究に広く用いられるトランスジェニックマウスモデルです。ヒト由来の変異型APP(スウェーデン変異)とPSEN1(エクソン9欠失変異)を神経細胞で共発現するよう遺伝子導入されており、加齢に伴い脳内にアミロイドβの沈着(プラーク)を形成します。作製は、これらの変異遺伝子を組み込んだDNAコンストラクトを受精卵へマイクロインジェクションし、出生個体からトランスジーンを有する系統を選抜・交配することで確立されます。
| 研究対象疾患 | モデルの利用方法 |
|---|---|
| アルツハイマー型認知症(AD) | アミロイドβ(Aβ)蓄積・凝集の評価(老人斑形成の観察、Aβ40/42定量)。アミロイドカスケード仮説に基づく病態解析や、家族性アルツハイマー病(FAD)の再現モデルとして使用。認知機能試験(モリス水迷路試験、新規物体認識試験、Y迷路試験)による記憶・学習能力評価。 |
| 脳アミロイドアンギオパチー(CAA) | 血管壁へのAβ沈着の組織学的評価。脳血管障害の進行や病理変化の解析。神経炎症(ミクログリア・アストロサイト活性化)の観察を通じた血管関連病態の解明。 |
| 軽度認知障害(MCI) | 初期の認知機能低下の評価として行動試験(新規物体認識試験、Y迷路試験)を実施。シナプス可塑性解析(LTP測定)やスパイン密度評価により、早期神経変性プロセスの解明に利用。 |
本論文(Jankowskyら, 2004)は、アルツハイマー病の病態形成におけるプレセニリン変異の役割をin vivoで検証した研究です。APPはBACE1およびγセクレターゼにより切断され、Aβ40およびAβ42が産生されますが、家族性AD関連のPS1変異はAβ42の割合を増加させることが知られています。本研究では、APPスウェーデン変異とPS1変異を共発現するトランスジェニックマウスを用いて解析し、Aβ40を維持したままAβ42が特異的に増加すること、さらにAβ42濃度がアミロイド沈着速度と相関することが示されています。これらの結果から、変異プレセニリンはγセクレターゼの特異性を変化させる可能性が示唆されています。
参照:MAYO CLINIC(https://mayoclinic.elsevierpure.com/en/publications/mutant-presenilins-specifically-elevate-the-levels-of-the-42-resi/ )
ヒトAPPスウェーデン変異およびPSEN1欠失変異を共発現するトランスジェニックマウスで、加齢に伴い脳内にアミロイドβプラークを形成します。家族性アルツハイマー病の病態を再現するモデルとして広く利用され、神経変性や認知機能低下の解析に適しています。(2026年5月18日調査)
| 製造・販売元 | The Jackson Laboratory |
|---|---|
| 分析項目 | アミロイドβ蓄積、プラーク形成、遺伝子発現解析、行動試験(学習・記憶) |
| 主要エンドポイント | Aβ40/42量、アミロイド沈着、認知機能低下、神経炎症、シナプス機能変化 |
参照:The Jackson Laboratory(https://www.jax.org/strain/004462)
ヒト化APPスウェーデン変異およびPSEN1欠失変異を神経細胞で共発現するトランスジェニックマウスです。ヒト型Aβを産生し、約6~7か月齢で脳内にアミロイド沈着を形成します。アルツハイマー病の病態再現モデルとして、神経変性やAβ代謝の解析に広く利用されます。(2026年5月18日調査)
| 製造・販売元 | Mutant Mouse Resource and Research Centers(MMRRC) |
|---|---|
| 分析項目 | アミロイドβ産生・蓄積、APP/PS1発現解析、免疫ブロット、PCR、脳代謝解析 |
| 主要エンドポイント | Aβ沈着量、プラーク形成時期(約6–7か月齢)、ヒトAβ検出、神経病理変化 |
参照:MMRRC(https://www.mmrrc.org/catalog/sds.php?mmrrc_id=34829)
APP/PS1 Tg(B6;C3-Tg(APPswe,PSEN1dE9))は、ヒト変異APPとPSEN1を共発現し、加齢に伴うアミロイドβ蓄積と認知機能低下を再現するモデルです。The Jackson LaboratoryやMutant Mouse Resource and Research Centersから提供され、アルツハイマー病研究に広く利用されています。
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