代謝物同定は、薬物動態(ADME)研究の基盤として、薬物が体内でどのように変化し、消失するかを把握するために必要なものです。創薬段階においては、効き目に寄与する活性代謝物や、副作用の原因となる毒性代謝物について早期に見極め、開発中止リスクを低減します。
さらに、ICH(日米 EU 医薬品規制調和国際会議)などのガイドラインに沿って、ヒト特有の代謝物や暴露量に対する安全評価を適切に行う上でも非常に重要であるといえます。
肝ミクロソーム、肝S9画分、肝細胞(Hepatocyte)を用いることによって、ヒトと動物種の代謝プロファイルの差(種差)の確認を行います。
in vivo試験を実施し、投与を行った後の血液や尿、糞などから、実際に生成された代謝物について網羅的に探索を行っていきます。
分子の質量を高い精度で測定し、目に見えない分子レベルでの違いを評価できる高分解能質量分析計を用いることによって、未知代謝物の組成式を推定します。その後、フラグメント解析により構造を決定します。
代謝物同定試験においては、標準化合物を用いることによって薬物の動態を追跡します。RI(放射性同位体)標識化合物を用いることで化学構造に依存しない高感度な検出が可能となります。また、SI(安定同位体)標識化合物は、未知代謝物の構造決定や偽陽性の排除を効率化できます。これらを活用し、ヒト特有代謝物の特定などを高い精度で実施できます。
リード最適化を行う段階では、ヒトミクロソームなどを用いて迅速に代謝物の推定や同定を行います。また、単に代謝安定性の低い化合物の除外を行うだけではなく、代謝されやすい部位の特定を行い、構造最適化を導くことが目的といえます。この点から、暴露不足や毒性代謝物についてリスクを回避し、有望な候補を早い段階で絞り込めます。
IND申請に向けて、動物モデルおよびヒトin virro系(肝細胞など)を用いて、主要代謝物の同定と構造解析を行います。
MIST対応では、ヒトのみで生じる代謝物の有無について放射標識ADME試験などを用いて確認を行います。存在する場合は、その安全性について動物試験などで再度立証を行います。
薬物動態(PK/ADME)専門の研究員が在籍しており、代謝物の推定から構造解析まで一貫して対応できる体制を備えているかがポイントとなってきます。複雑分子の動態評価に習熟したCROであれば、試験設計の精度やデータ解釈の質が担保されます。
受託試験機関(CRO)がどのような設備を保有しているかもポイントとなってきます。例えば、微量代謝物や未知成分の検出精度を上げられる高分解能LC-MS/MSなど、高い精度での解析を可能にする機器体制が備わっていることを確認します。
GLPに準拠していることに加えて、国内外のガイドラインを踏まえた高品質な報告書の作成が可能かどうか、という点も確認しておきたい部分です。
担当者とのコミュニケーションのとりやすさについても確認しておきます。例えば定期的に進捗報告が行われる、判断が必要な場面などですぐに相談が可能といったCROであれば、開発の遅延を防げます。あらかじめ問い合わせへの応答速度や修正対応、納期遵守に関する実績などを確認しておくことがおすすめです。
新薬開発において、非臨床試験の質と効率は、臨床成功率やコスト、スピードに直結します。特に近年では、「ヒト外挿性の高いデータ」「国際申請に通用する信頼性」「創薬初期での的確な絞り込み」といったニーズが高まり、CRO(医薬品開発受託機関)選びにも戦略性が求められるようになりました。
本記事では、非臨床の目的ごとにおすすめの3社を厳選して紹介していきます。