こちらの記事では、アルツハイマー病(神経炎症)の病態モデルである「icv-STZ」を紹介しています。その特徴や研究対象、主な製品などの情報を調査してまとめました。
早期の孤発性アルツハイマー病における候補薬剤の薬理学的な有効性を評価するために用いられているモデルです。孤発性アルツハイマー病はアルツハイマー病の大部分を占めていますが、明確な遺伝的な変異を持たず、主に加齢や環境要因によって発症するとされています。
このような孤発性アルツハイマー病と同様の病態を示す点を特徴とするicv-STZモデルは、神経障害や神経膠症、脳の炎症、ニューロンやシナプスの喪失、軽度認知障害を標的とする薬剤の評価を行う場合に適しているとされています。
| 研究対象となる疾患 | 病態モデルの利用方法 |
|---|---|
| 孤発性アルツハイマー病 | 遺伝的な変異に依存しない、早期から中期の孤発性アルツハイマー病に対する新規化合物の薬理学的有効性の評価 |
| 軽度認知障害および認知症 | 空間記憶・学習障害に対する新薬候補のスクリーニングや、認知機能改善メカニズムの解明 |
| 脳内インスリン抵抗性 | 脳特異的なインスリンシグナル伝達の障害メカニズムの解明など |
このモデルは、主に孤発性アルツハイマー病や認知症に対する新規化合物の薬効評価や、病態のメカニズムを解析する際に多く用いられています。
| 利用方法 | 詳細 |
|---|---|
| 行動薬理学的な 認知機能・記憶障害の評価 |
Y字型迷路テスト、モリス水迷路テストによる空間記憶、作業記憶の評価 受動回避試験、新奇物体認識試験による長期記憶、学習能力の評価 |
| 組織病理学的な脳組織解析 | GFAP免疫染色によるアストロサイトの活性化の評価 Iba1免疫染色によるミクログリアの活性化および神経炎症の進行度評価 NeuN染色やニッスル染色による海馬等のニューロン喪失の評価 |
孤発性アルツハイマー病は、脳内のエネルギー代謝異常、インスリン受容体シグナルの障害が認知症の発症に関わっています。こちらの研究では、インスリン受容体機能を害するストレプトゾトシン(STZ)をラットの脳室内に投与した上で、行動やエネルギー代謝への影響を評価しています。
その結果、icv-STZ投与ラットは、ホールボード試験や受動回避試験において、長期かつ進行性の学習・記憶障害、持続的なエネルギー不足を示しています。このような研究から、この動物モデルは孤発性アルツハイマー病の研究において有用であると結論づけられています。
ここでは、Googleにて「icv-STZ 製品」と検索し、ヒットした上位10サイトのうち、製品ページが確認できたものを検索上位から2製品ご紹介しています(2026年6月4日調査)。
脳室内にSTZを投与し、短期間で脳の炎症、シナプスの喪失、軽度認知障害などを誘発する疾患モデル。家族性とは異なる孤発性アルツハイマー病と同様の病態を示し、脳内の炎症、神経変性を標的とする新薬候補の薬効評価に用いられています。
| 製造・販売元 | 分析項目 | 主要エンドポイント |
|---|---|---|
| SMCラボラトリーズ株式会社 | 体重推移、記憶障害評価、海馬の組織病理学的解析 | 記憶・認知機能の改善、海馬におけるアストログリオーシスおよびミクログリアの活性化(神経炎症)の抑制 |
前臨床試験向けに提供されている、アルツハイマー病の評価に用いられる動物モデルです。STZの脳内投与により、脳内のインスリンシグナルを阻害し、認知機能低下やコリン作動性神経の機能不全を再現しています。
| 製造・販売元 | 分析項目 | 主要エンドポイント |
|---|---|---|
| Creative Biolabs | 行動評価テスト、血液および脳組織の生化学的解析 | 認知・記憶機能の改善、神経炎症の抑制、および神経伝達物質の動態の正常化 |
icv-STZモデルは、脳にSTZを投与することによってインスリン抵抗性を引き起こして孤発性アルツハイマーの認知障害・神経炎症を再現する病態モデルであり、新薬開発に広く活用されています。非臨床試験においては、信頼できるモデル選定が重要です。以下の記事では非臨床試験に利用されている病態モデル一覧を紹介していますので、参考としてご活用ください。
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