本記事では、Dravet症候群(てんかん発作、発達遅延)の病態モデルである「Scn1a+/−」の特徴や主な研究対象、レビュー、主な製品などをまとめています。
Scn1a+/−は、Dravet症候群(てんかん発作、発達遅延)の病態モデルです。Dravet症候群の主な原因となるナトリウムチャネルのαサブユニット1型タンパク質「Nav1.1」を作るScn1a遺伝子の片アレル変異・欠損を再現した疾患モデルマウスであり、ヒトのDravet症候群におけるてんかん発作や発達障害、突然死などの症状を再現できることから、新たな抗てんかん薬や遺伝子治療薬の有効性を検証するモデルとして世界で広く用いられています。
| 研究対象となる疾患 | 病態モデルの利用方法 |
|---|---|
| Dravet症候群の新規治療薬開発 | 抗てんかん薬やカンナビジオール(CBD)などの新規化合物を投与し、発作頻度の減少や生存率改善などを検証 |
| 遺伝子治療および核酸医薬の開発 | AAVベクターを用いた遺伝子補充、アンチセンスオリゴを用いたタンパク質発現回復の概念実証(PoC)試験に利用 |
| てんかんの突然死および 発達障害の機序解明 |
呼吸機能低下などの自律神経障害や、併発する認知・行動異常のメカニズムの解明に利用 |
こちらのモデルは、主に「生体内での発作抑制」と「生存期間の延長」をエンドポイントとします。
| 利用方法 | 詳細 |
|---|---|
| 脳波(EEG)測定 | 脳波を記録し、てんかん発作の発生頻度、持続時間、 および発作時の異常波形を定量的に評価 |
| 温熱誘発試験 (熱性けいれんの評価) |
マウスの体温を人工的に上昇させ、熱性けいれんが誘発される際の 「閾値体温(何℃で発作が起きるか)」を測定し、発作への耐性を評価 |
| 電気生理学的解析 (パッチクランプ法) |
脳スライスを用いて「GABA作動性抑制性介在ニューロン」の ナトリウム電流密度や神経活動を測定し、細胞レベルでの機能回復を検証 |
| 行動薬理学的試験 | ロータロッド試験による運動失調(協調運動機能)の評価、 オープンフィールド試験、社会的行動試験などを組み合わせ、 てんかんの随伴症状である認知・行動障害への影響を総合的に評価 |
| 生存率・生存期間の追跡 | カプラン・マイヤー生存曲線などを用いて、 薬物投与による生存期間の延長効果を評価 |
電位依存性Naチャネル(NaV1.1)の変異によって、乳児重症ミオクロニーてんかん(SMEI/Dravet症候群)が引き起こされます。Scn1a−/−マウスの場合、運動失調が見られ生後15日で死亡し、Scn1a+/−マウスの場合には生後21日に自然発症の発作と散発的な死亡を示しました。
海馬ニューロンを解析した結果、GABA作動性抑制性介在ニューロンにおいて、ナトリウム電流密度が大幅に減少していました。一方、興奮性錐体ニューロンにおいては減少が見られませんでした。この結果、GABA作動性ニューロンの機能低下により、SMEIのてんかんを引き起こす過興奮を引き起こす可能性がある、と示しています。
ここでは、Googleにて「Scn1a+/−(Dravetモデル) 製品」と検索し、ヒットした上位10サイトのうち、製品ページが確認できたものを検索上位から2製品ご紹介しています(2026年6月3日調査)。
Scn1a遺伝子のエクソン1を欠失させたノックアウトマウスです。てんかんの遺伝的な解析や前臨床試験の標準モデルとして、広く利用されているモデルです。
| 製造・販売元 | 分析項目 | 主要エンドポイント |
|---|---|---|
| The Jackson Laboratory | 自発的てんかん発作の頻度、運動失調(ロータロッド試験等)、生存率 | てんかん発作の抑制、生存期間の延長 |
実際のDravet症候群患者で見つかっている特定の遺伝子変異(ナンセンス突然変異)を忠実に再現した、「オープンアクセス」の疾患モデルマウスです。
| 製造・販売元 | 分析項目 | 主要エンドポイント |
|---|---|---|
| The Jackson Laboratory | Scn1a mRNAおよびNav1.1タンパク質の発現量、てんかん発作の頻度 | リードスルー治療等によるタンパク質機能回復、発作抑制・生存率の改善 |
こちらの記事で紹介してきたScn1a+/−モデルは、Dravet症候群のてんかんや突然死の再現をするマウスであり、新薬や遺伝子治療の評価に用いられています。非臨床試験においては、信頼できるモデルの選定が重要なポイントです。本サイトでは、非臨床試験で利用されている病態モデルについてまとめていますので、ぜひ以下の記事も参考としてご確認ください。
新薬開発において、非臨床試験の質と効率は、臨床成功率やコスト、スピードに直結します。特に近年では、「ヒト外挿性の高いデータ」「国際申請に通用する信頼性」「創薬初期での的確な絞り込み」といったニーズが高まり、CRO(医薬品開発受託機関)選びにも戦略性が求められるようになりました。
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