IND申請において、非臨床安全試験はヒトへの初回投与(FIH)に進むための安全性を担保する「ゲートキーパー」としての役割を担っています。動物モデルから得られた無毒性量(NOAEL:No Observed Adverse Effect Level)などに基づいて初回投与量などを設定し、臨床試験(Phase 1)の妥当性を証明します。
PMDAやFDAなどの規制当局では、毒性データについて厳格に審査を行っており、GLP準拠の信頼性基準に基づいた試験の実施が、申請が受理されるための必須条件となっています。
単回投与および反復投与毒性試験を通じて、投与量に応じた全身への影響について確認を行います。このデータを用いて無毒性量(NOAEL)を算出し、どの臓器に毒性が出るかを特定することによって、ヒト初回投与量の安全な初期設定や投与期間の妥当性の判断に使用します。
ヒトの命に直結する中枢神経系、心疾患系、呼吸器系といった、生命を維持するために重要となる機能に対する影響を評価します。この試験は「コアバッテリー試験」と呼ばれるものであり、試験はGLP基準下で行われます。
遺伝毒性試験では、Ames試験などを用いてDNAや染色体への損傷リスクを評価し、発がん性や次世代への遺伝的影響を誘発する可能性を早期に見極めます。また免疫毒性試験は、薬物が引き起こす意図しない免疫機能の抑制や過剰反応など、免疫系に対する有害な影響を調べるために行われます。もし広範な免疫抑制が認められた場合には、感染症や腫瘍発生のリスクが高まるとされています。
開発モダリティや適応症によって、試験戦略が異なります。例えば抗体医薬などのバイオ医薬品(ICH D6)の場合、低分子と代謝が異なるので、ヒトと薬理学的に交差反応を示す動物種を選択して評価します。また、抗がん剤(ICH S9)の場合には、重篤疾患における治療上の必要性を踏まえて試験項目の最適化を行います。
ICHのガイドラインに準拠した試験デザインを行うことで、重複しやすい試験の排除が可能となります。国際的に通用するデータを早期に揃えることによって、追加の試験や手戻りなどが防げ、INDの申請準備を効率化できます。
非臨床試験は単独で進めていくのではなく、CTD(コモン・テクニカル・ドキュメント)の作成や紹介対応まで含めて逆算し、管理することが大切です。試験の完了時期や解析、報告書の作成、申請証の統合を一体で設計した場合、遅延を防ぎ申請までの流れの短縮に繋げられます。
進行がんなど重篤で治療の選択肢が限られる疾患などにおいては、ICH S9などに基づき、一部試験の臨床開始後への延期(Deferral)が許容されます。FIH試験を安全に開始するための科学的な根拠を示し、未実施試験のリスクを合理的に説明する戦略的なデータパッケージ構築が求められます。
CROの選定を行うにあたって、まずは規制対応の実績を確認することが大切です。具体的には、国内外への当局に対するIND/NDA申請支援の実績や、指摘事項への対応ノウハウは必須といえます。
霊長類やミニブタなど、試験に必要となる動物種の安定確保は、開発の遅延を防ぐ鍵となるため、確保状況についてはあらかじめ確認しておくことが推奨されます。また、技術面においては高度なバイオ分析技術などを保有しているかといった点も確認します。
IND申請を行うにあたって、申請書類の作成支援についての対応もチェックしておくべきポイントです。eCTD形式でのデータパッケージ作成や、治験薬概要書(TB)執筆のサポートが受けられると、実務に関する負担を大幅に軽減できるため、支援範囲も事前に確認しておいてください。
CROは、単に作業を委託する先ではなく、科学的な戦略的パートナーと位置付けることが重要です。試験結果の提出だけではなく、当局との対面助言を見据えた戦略の立案ができるかどうかといったコンサルティング力の有無が開発の成功を左右します。
新薬開発において、非臨床試験の質と効率は、臨床成功率やコスト、スピードに直結します。特に近年では、「ヒト外挿性の高いデータ」「国際申請に通用する信頼性」「創薬初期での的確な絞り込み」といったニーズが高まり、CRO(医薬品開発受託機関)選びにも戦略性が求められるようになりました。
本記事では、非臨床の目的ごとにおすすめの3社を厳選して紹介していきます。