本記事では、ライトシート顕微鏡を用いた3Dイメージングについて解説しています。企業における導入のハードルと、ライトシート顕微鏡の解析受託サービスを活用することのメリットに加えて、解析サービスの選定ポイントをまとめました。
従来用いられてきた共焦点レーザー顕微鏡を用いた撮影では、スキャンに膨大な時間がかかり、レーザー照射によって発生するサンプルの褪色などの課題がありました。それに対してライトシート顕微鏡を使用した場合、光毒性を抑えつつ、全脳や臓器全体をスピーディーに撮影することができます。この点から、ライトシート顕微鏡は組織透明化技術を用いた3D解析に不可欠な、「車の両輪」ともいえる存在です。
最先端のライトシート顕微鏡を自社でゼロから導入する場合には、数千万規模の高額な初期設備投資が必要となります。さらに、購入後も定期的なメンテナンス費用や保守費用、レーザーや特殊な対物レンズの更新、データを保存するためのサーバーの維持にかかる費用など、高額なランニングコストが継続的に発生します。これらの点から、自社での環境構築には踏み切れないケースが少なくないといえます。
組織透明化技術は、対象となる臓器やターゲットとするタンパク質により、最適な透明化試薬(CUBICやiDISCOなど)が大きく異なります。そのため、条件の検討のみでも膨大な時間が必要となります。また、深部まで抗体を浸透させるための免疫染色の過程では、蛍光の減弱やアーティファクト(ノイズ)の発生を防ぐための高度な手法やノウハウが欠かせないことから、専門的なスキルを持つ研究者の確保が壁になります。
ライトシート顕微鏡で取得される3D画像データは、1つのサンプルでテラバイト(TB)級の膨大な容量になることもあります。そのため、安定したデータの保存や転送を行うには、強固なITインフラ環境が必須といえます。さらに、巨大な画像データから細胞を自動カウントするための高性能なGPU環境や高額な専用解析ソフトの導入に加えて、それらを使いこなすための高度なデータ処理スキルが求められます。
前述のハードルを解決するための手段としては、専門企業への委託という選択肢が挙げられます。解析受託サービスの中には、ライトシート顕微鏡による撮影だけではなく、サンプルの脱脂・透明化から、免疫染色や定量解析までをワンストップで請け負うところもあります。このような受託サービスを活用することによって、研究のリードタイムを大幅に短縮することができます。
経験豊富な受託企業の場合、CUBICやiDISCOなど多様な透明化プロトコルの実績と豊富な知見を持っています。この点から、目的の臓器や観察を行いたいターゲットに応じ、専門的な視点から適した手法や撮影条件を提案してもらうことが可能です。自社で一から条件の検討を行うケースと比較すると、アーティファクトや染色不良などの失敗リスクを下げ、高品質なデータを得られます。
受託サービスを利用することによって、単なる3D画像だけを得られるのではなく、AIを活用することによって得られる細胞の空間分布における定量データや、統計学的な解析レポートといったように、高度なデータ解析結果を受け取ることができます。
ライトシート顕微鏡と組織透明化を組み合わせた立体的な空間解析は、従来用いられてきた2D切片評価よりも精緻なデータの取得が可能となることから、今後はますます標準的な手法となることが予想されます。この点から、ライトシート顕微鏡の解析受託サービスの選定時には、単に価格のみで選ぶのではなく、目的としている臓器・染色での具体的な実績、データセキュリティ、コンサルティング力について総合的に評価を行うことが非常に重要であるといえます。
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