EGFR阻害薬は、がん細胞の表面にある上皮成長因子受容体(EGFR)に作用し、細胞の増殖や生存に関わるシグナル伝達を遮断することで、がんの増殖を抑える分子標的薬です。EGFRの異常な働きががんの発生や進行に関与する場合に用いられ、特定の遺伝子変異を有する患者では高い治療効果が期待されます。なお、EGFR阻害薬には複数の種類があり、チロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)はその一つで、EGFRの細胞内にあるチロシンキナーゼ活性を阻害することで抗腫瘍効果を発揮します。
EGFR阻害薬には複数の種類があり、作用の特徴や開発世代によって分類されます。ここでは、臨床で広く使用されている代表的なEGFR阻害薬について、それぞれの特徴を簡単に紹介します。
EGFR阻害薬では、治療中にT790M変異やC797S変異などの耐性変異が出現し、薬剤効果が低下することがあります。その克服に向け、耐性細胞株やオルガノイドを用いた非臨床試験が重要な役割を担っています。
EGFR阻害薬では、Exon19欠失やL858Rなど、患者ごとに異なるEGFR変異に応じた薬剤選択が重要です。そのため、患者由来モデルを用いた評価や、高精度なバイオマーカーの開発が求められています。
EGFR阻害薬は、がん細胞だけでなく皮膚や消化管など正常組織のEGFRにも作用するため、発疹や下痢などのオンターゲット毒性が生じることがあります。そのため、安全性・毒性評価に加え、ヒトでの反応をより正確に予測できる病態モデルや薬効評価系を構築し、ヒト外挿性を高めることが重要です。
EGFR阻害薬では、T790MやC797S変異などによる耐性獲得が大きな課題です。通常の細胞株では臨床の耐性を十分に再現できないため、耐性細胞株、患者由来オルガノイド、PDXモデルなどを組み合わせて評価することが重要です。各モデルの特性を踏まえ、開発段階に応じて使い分けることで、耐性機構や次世代候補薬の有効性をより実臨床に近い条件で評価できます。
標的への結合が確認できても、それだけで十分な薬効が得られるとは限りません。そのため、Target Engagementによる標的結合の確認に加え、バイオマーカーで作用機序や薬効発現を評価し、薬効薬理試験で抗腫瘍効果やシグナル抑制を総合的に検証することが重要です。複数の評価指標を組み合わせることで、候補薬をより適切に評価できます。
薬効が得られない原因は、薬剤自体の作用不足ではなく、標的組織へ十分に到達していない可能性もあります。そのため、PK評価で吸収・分布・代謝・排泄(ADME)を把握するとともに、腫瘍内分布やBBB透過性を評価し、薬効試験と組み合わせることで、薬効不十分の原因を適切に切り分けることが重要です。
EGFRは正常組織にも発現しているため、オンターゲット毒性を考慮した安全性評価が不可欠です。開発初期から毒性リスクを把握することで、後期開発での失敗リスクを低減できます。また、hERG試験による心毒性評価や、バイオ医薬ではADA(抗薬物抗体)の評価など、モダリティに応じた適切な安全性試験を実施することが重要です。
EGFR阻害薬の開発では、薬物動態(PK)評価だけでは十分ではなく、薬効評価、安全性評価、さらに耐性細胞株や患者由来オルガノイド、PDXモデルなどを活用した病態・耐性モデルまで一貫して対応できる体制が重要です。開発段階に応じた評価系を提供できるCROを選定することが、効率的な開発につながります。
新薬開発において、非臨床試験の質と効率は、臨床成功率やコスト、スピードに直結します。特に近年では、「ヒト外挿性の高いデータ」「国際申請に通用する信頼性」「創薬初期での的確な絞り込み」といったニーズが高まり、CRO(医薬品開発受託機関)選びにも戦略性が求められるようになりました。
本記事では、非臨床の目的ごとにおすすめの3社を厳選して紹介していきます。