mRNAとは、目的タンパク質を体内で一時的に発現させる核酸医薬です。細胞内で必要なタンパク質を産生させることで治療効果を目指します。感染症ワクチンへの応用で広く知られていますが、近年ではタンパク質補充療法やがん免疫療法など幅広い分野での活用も期待されています。LNP(脂質ナノ粒子)をはじめとするデリバリー技術の進歩により、mRNAを効率よく標的細胞へ届けることが可能となり、さまざまなmRNA医薬の実用化が進んでいます。
コミナティ(BNT162b2)は、LNP(脂質ナノ粒子)を用いてmRNAを体内へ送達するCOVID-19 mRNAワクチンです。感染症領域におけるmRNA医薬の実用化を大きく前進させた代表例であり、その実用化を契機に、さまざまな疾患を対象としたmRNA医薬の研究開発が世界的に加速しています。
スパイクバックス(mRNA-1273)は、LNP(脂質ナノ粒子)とmRNAを組み合わせたCOVID-19 mRNAワクチンです。mRNAプラットフォームの代表例として実用化され、感染症予防だけでなく、さまざまな疾患へのmRNA医薬応用の可能性を広げる重要な実績となりました。
個別化がんワクチンは、患者ごとのがんネオアンチゲンをコードしたmRNAを用いる治療法として開発が進められています。現在は治験・開発段階の代表例であり、患者ごとに最適化した治療を目指すアプローチとして、mRNA創薬の今後の方向性を示す有望な技術として期待されています。
mRNAは単独では細胞内へ取り込まれにくく、体内で分解されやすいため、デリバリー技術が薬効を大きく左右します。LNP(脂質ナノ粒子)をはじめとするDDS(ドラッグデリバリーシステム)は、mRNAを保護しながら標的組織へ効率よく送達するため、mRNA医薬開発の重要な基盤技術となっています。
mRNA医薬では、十分な発現効率と発現持続時間を確保することが薬効に直結します。そのため、mRNA安定性や翻訳効率の最適化に加え、患者差を考慮したバイオマーカーの探索や、体内でのタンパク質発現評価を組み合わせることが重要な開発課題となっています。
mRNA医薬では、自然免疫活性化によるサイトカイン誘導や炎症反応を適切に評価することが求められます。安全性評価では、ヒト外挿性の高い病態モデルを用いて免疫応答を予測し、非臨床段階から臨床での安全性や有効性をより正確に評価することが期待されています。
標的組織へのデリバリー評価は、mRNAやLNPが目的の組織へ適切に送達されるかを確認するために行われます。組織内分布や核酸医薬体内分布に加え、PK評価やLNP評価を組み合わせることで、送達効率と薬物動態を総合的に把握し、有効性との関連を評価します。
タンパク質発現と薬効の評価では、Target Engagementやタンパク質発現量、発現持続性を総合的に確認します。さらに、バイオマーカー解析や薬効薬理試験を組み合わせることで、標的への作用と薬効との関連を多面的に評価し、有効性をより適切に判断します。
ヒト外挿性の高い病態モデルでは、オルガノイドやiPS細胞、ヒト化マウス、患者由来モデルを組み合わせて評価します。それぞれのモデルが持つ特性を活用することで、ヒトでの薬効や安全性をより現実に近い形で予測し、非臨床評価の信頼性向上につなげます。
mRNA医薬では、免疫刺激やLNP由来毒性を含めた特有の安全性を総合的に評価します。サイトカインストームや肝毒性の有無に加え、長期安全性も確認し、複数の安全性試験を組み合わせることで、リスクを多面的に把握して臨床への外挿性を高めます。
mRNAとは感染症ワクチンに加え、がんや希少疾患など幅広い疾患への応用が期待される創薬モダリティです。一方で、デリバリーや安全性、ヒト外挿性などの課題も残されており、適切な非臨床評価が欠かせません。開発を効率的に進めるためには、mRNA医薬の特性を理解し、評価戦略を提案できるCROを選定することが成功への鍵となります。
新薬開発において、非臨床試験の質と効率は、臨床成功率やコスト、スピードに直結します。特に近年では、「ヒト外挿性の高いデータ」「国際申請に通用する信頼性」「創薬初期での的確な絞り込み」といったニーズが高まり、CRO(医薬品開発受託機関)選びにも戦略性が求められるようになりました。
本記事では、非臨床の目的ごとにおすすめの3社を厳選して紹介していきます。
特許技術による新規モデル作製(特に肝疾患・線維化)や未知の病態モデルの作成など、多彩な自社疾患モデルを保有しているのが特徴。
探索から臨床を見据えた、薬効評価プランを個別設計が行えます。
「STAM™マウス」という特許モデルを保有しており、ヒトのMASH/NASHからHCCに類似した経過を示し、病態進展が20週齢時の肝癌を発症させることが可能。
2週間程度で、間質性線維症や尿細管変性、さらに炎症細胞浸潤を含む多重の病態が現れることから、抗線維化薬の初期スクリーニングモデルとして有用です。
現時点で存在しない疾患でも、独自の病態モデル開発が可能。クライアントの創薬ターゲットに合わせて、新しい病態モデルの提案をします。
国際規制に対応したGLP試験体制のもと、発がん性等の長期毒性からFIHに向けた毒性・TK・安全性薬理試験まで一括受託。ICH準拠の確実なデータで、グローバル創薬のコストと手戻りリスクを削減します。
SEG I–III(生殖発生毒性)や2年間の発がん性試験をはじめ、長期間にわたる複雑な毒性評価にも対応可能です。
初回ヒト投与(FIH)をまでを見据えた、毒性・TK(毒性動態)・安全性薬理試験までを一括で設計・受託することができます。
FDA・EMA・PMDAなどの国際規制に対応したGLP試験体制を完備。ICHガイドラインに準拠した信頼性の高いデータを取得し、グローバルな申請を見据えた試験設計を提案します。
PXBマウスを用いたヒト外挿性の高い薬物動態・肝代謝評価と、LC-MS/MSによる高感度バイオアナリシスを提供。動態・肝毒性・安全性の統合評価体制で核酸医薬等の新モダリティにも対応します。
ヒト肝細胞を有するPXBマウス®を用いた薬物動態・肝代謝評価に対応。
ADMEや薬物相互作用においてヒト外挿性の極めて高いデータを取得でき、臨床試への移行をサポートします。
LC-MS/MSを活用した高感度なバイオアナリシスを提供。微量な血中濃度測定から、複雑な代謝物の同定、厳密な定量バリデーションまでを一貫対応します。
薬物動態・肝毒性・安全性の統合評価体制を構築し、核酸医薬等の新モダリティにも対応。肝代謝が課題となる化合物や臨床導出が控える案件でも、定量性と再現性に優れた信頼性の高いデータを提供。